Last modified on Saturday February 24, 2018
ある程度興味のある大学・大学院が決まっているようであれば,まずは大学のウェブサイトから情報を収集するのが良いと思います。なにを当たり前のことを,と思われるかもしれませんが,インターネットで調べると日本語・英語を問わず,様々な留学情報サイトがあります。なかには有料のものもあり,いかにも受験生に役立つ情報を持っているかのように見せかけているものもありますが,ほとんどは大学のウェブサイトを見れば得られるものばかりです。特に日本語の留学サイト・エージェントについては学部留学や短期交換留学を対象としたものがほとんどですので,特に大学院に進もうとしている方にはあまり役に立たないでしょう。
まだ大学を絞れ切れていない場合は,大学のランキングを見てみるのもひとつの手です。ランキングはあてにするな,という意見もしばしば耳にしますが,私は「分野別のランキングは知っておいても良い」と考えています。例えばEngineeringの分野に進もうと思っているのであれば,その分野のランキングは知っておいて損はありません。一方,総合ランキングについてはそれほど意味がないように思います。
アメリカをはじめとする国では,大学などの高等教育機関の設置にあたって日本のような明確な基準がありません。これは,良く言えば各大学が自由にカリキュラムを組み,それぞれの特色を出すことができますが,悪く言えば非常に質の低い大学が学位を授与することもできるのです。このような理由から,どの大学から学位を得たか,ということが重要になります。ランキングは卒業生の質をある意味で示していると言っても良いと思います。
しかしながら大学の総合ランキングを評価の基準にすることはおすすめしません。一つの大学の中でも,やはり得意な分野と苦手な分野というのが一般的に存在します。たとえば私のいるパデュー大学の場合,工学の分野で見れば全米8位ですが,総合ランキングは56位です(US News, 2018)。私の大学は総合大学であるため他の学部が順位に影響を与えているのだと考えられますが,実際には入試の方法から予算,そして卒業要件まで各学科で実質的に独立していますので,総合ランキングはあまり意味がないように感じます。
またアメリカの場合,アメリカ大学協会(Association of American Universities)という研究大学の組織があり,ここに属している大学は一般にトップ大学と考えて良いでしょう。ただし例外も多くあり,例えば研究所の一部として学位を授与しているような場合は,このような組織に属していない場合もあります。
大学の研究内容などに気を取られてしまい疎かになりがちなのが,大学の立地です。大学周辺の治安,物価,気候,または商業施設など,住む場所が体に合わないと,いくら研究がうまくいったとしても生活が苦痛になりかねません。たとえば私の住むインディアナ州(ラファイエット市)は,ほぼ完全な車社会で,車なしでは生活できません。夏はそれほど暑くはなりませんが,冬はマイナス30度近くになることも毎年のことです。物価は非常に安く,500ドルもあればベッドルーム付きアパートが借りられます。ただ日本食レストランなどはほぼ皆無で,ちゃんとした日本食が食べたくなったり食材が必要となった場合には,シカゴまで車を走らせるくらいしかありません。ご想像の通り私の住んでいる場所は,このようにかなり田舎ですが,アメリカでも都市部へ行けば環境は大きく変わり,また生活スタイルも大きく異なります。